Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ここのつのかぎ

九つの鍵

野村 胡堂

Lesen Sie 九つの鍵 (ここのつのかぎ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.349 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

みの虫少年姉弟

みの虫少年姉弟

「君、さっきからここにいたのか」

「うん」

少年はうなずきました。街灯の光にすかして見ると、見なりこそひどくそまつですが、陽に焦けた顔、五分刈り頭、クリクリとした眼、チンマリした鼻、年の頃はせいぜい十四五でしょうか、いかにも賢こそうな少年です。

「このビルディングにはどんな人が住んでいるんだ?」

「わからないよ、ギャング団かも知れないよ、人相の悪い奴が出入しているんだ」

「君は?」

「ぼくはこの隣さ――、これでも浮浪児じゃないよ、ちゃんとした家があるんだ」

少年の指したのは、ビルディングの南側、虫の巣のような焼けトタンで片庇をこしらえた、見る影もない小屋でした。でも中には電灯がついており、少年のほかに女の人がひとり、外のようすを心配そうに覗いているのです。

「ビルの屋上に引き上げられたのは、ぼくの妹なんだ。このビル中へはいる工夫はないかね、君?」

三郎はこの少年を頼るほかはありません。

「むつかしいが、やってみようよ、――このビルは元ぼくのお父さんの物だったんだ。戦争で逃げ廻っているうちに、お父さんは行くえがわからなくなるし、ビルは悪者たちに占領されるし、ぼくと姉さんは、しかたがないからこのビルの横っ腹に、ダニのように食いついて、お父さんの帰ってくるのを待っているんだ」