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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふたつのみち

二つの途

豊島 与志雄

Lesen Sie 二つの途 (ふたつのみち) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.102 Zeichen · 104 Bildschirme

Aozora Bunko

……もし御心配なら、私の病院の院長に診て貰われたら如何です?」

「いえ、別にそういうわけではありませんが、実は、病人が母に逢いたがってるものですから。」

「ではすぐに呼んだらいいじゃありませんか。遠いのですか。」

「上野です。」

「上野! どうして今まで呼ばなかったのです?」

木下は事情を話さなければならなかった。彼は手短かに、信子の恋愛事件から両親との衝突を物語った。

「分りました、」と本田は云った、「そうですか、私も何だか変だとは思っていましたが。……そして何時から病人は母に逢いたがっています?」

「今朝からです。」

「今朝から?」

本田は何か考え込んで、煙草を取り出して火をつけた。そして云った。

「別に障りはしますまい。逢わしたらいいでしょう。……然し前から、非常に精神が興奮してるようですね。」

「ええ、他に事情もあったものですから。」と答えて木下は頭を垂れた。

「なるべく静にさして置かなければいけませんね。」

二人は暫く黙っていた。

「では兎に角こうしましょう。」と本田は云った。彼は三時頃病院の用がすむので、その帰りにいつもより早めに立寄ること、そしてその頃病人の母にも来て貰うこと、なるべく多く口を利かせないこと。