Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme
「えっ、戦争すむの。どうして?」
「こんな、病人まで引っぱりださにゃならんとこみると――」
だが、大吉たちにはその意味はわからなかった。ただ、じぶんの家でも父が戦争にゆくということで肩身がひろかったのだ。一家そろっているということが、子どもに肩身のせまい思いをさせるほど、どこの家庭も破壊されていたわけである。
戦死の公報がはいったのは、サイパンを失う少しまえだった。さすがの大吉もそのときは泣いた。肘を胸のほうにまげて、手首のところで涙をふいている大吉の肩を、母は抱きよせるようにして、
「しっかりしようね大吉、ほんとにしっかりしてよ大吉」
じぶんをもはげますようにいい、そのあと、小さな声で、どんなに父が家にいたがったかを語った。
「行ったら最後もう帰れないこと、分かってたんだもん。それなのに大吉たち、大さわぎしたろう。気のどくで、つらくてお母さん……」
しかし大吉はそのときでさえ、なぜ母はそんなことをいうのだろうと思った。父はよろこび勇んで出ていったのだといってもらいたかった。戦死は悲しいけれど、それだとて、父のない子はじぶんだけではないのにと、そのことのほうをあたりまえに考えていた。