Japanische Klassiker mit Furigana
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はたちのエチュード
二十歳のエチュード
原口 統三
Lesen Sie 二十歳のエチュード (はたちのエチュード) von 原口 統三 (はらぐちとうぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.578 Zeichen · 125 Bildschirme
これを切実に知っており、しかもここに溺れてしまわぬ自己を育んで行こうとする人間。
僕が、今までに逢った人々の中で、こうした印象を汲みとりえたのは、中野ただ一人だった。
*143
広い道をとらねば生きて行けるわけがない。
けれども誠実さは何といっても狭い道を行く。
精神の自由者とは、いつの日も、深淵に向かって張り出された、ただ一本の細糸の上を辿って行くものではないのか。
*144
「僕にとって、自殺は一つの新しい飛躍である」
こう負け惜しみを言ったら、僕の天使が慰めて曰く、
「死によって、あなたの姿が消え失せても、羽搏きだけは風の中に残らないとだれが断言できるでしょう」
*145
僕は、先輩が嫌いだった。
背後をふり返る者の眼には、もっと気弱い、臆病な影がある。しかも、先輩というやつは、傲慢なもったいぶった顔をして過去を語り、後輩の現在を、彼らの過去と混同する。元来「過去」はわれわれが考えるほど、頼りになるものでも、何でもない。時の流れにおいては、すべてが絶えず変化し転落してゆくものである。先輩は「過去」という亡霊が今なお生きていると錯覚して、後輩を失敬にもこの乾枯びた枠の中に入れて眺め、さて、自信がないものだから、おしまいには決まってお世辞を言う。