Japanische Klassiker mit Furigana
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はたちのエチュード
二十歳のエチュード
原口 統三
Lesen Sie 二十歳のエチュード (はたちのエチュード) von 原口 統三 (はらぐちとうぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.578 Zeichen · 125 Bildschirme
*20
大連。――彼は植民地の子供である。祖国の山河は、絵本の中に住んでいた。そして、外国も、やはり海の向こうにあった。
大連の肌目は粗いが、それを洗煉されたお化粧でごまかそうとする。
大連の顔は歪んでいる。
港の銅鑼の音は、彼の心を異境の空に誘惑した。
他国の星の下で、若者は、自分の町を思い出す。ロシア少女の甘い、嗄れた声が、夢の中で彼を招くのだ。
「ダルニー」とただ一言。
すると、その言葉が、不思議な魔法で彼を縛ってしまう。
そして、若者はきっと憑かれたように、生まれた町にかえって行く。
が、やがてまた、ダルニーは彼の心を駆り立てて、新しい汽船に乗せてくれるだろう。
植民地は野心の子を作る。
彼はアカシヤの花にノスタルジアの匂いを嗅ぎ、清澄な空の高さを仰いでは、希望の欣びを知り、棧橋の人混みにまぎれて異国趣味に睦み、山の上から眼下に横たわる街々を眺めては平和を愛し、支那人の顔を見つめて首をかしげ、綺麗な道路と赤瓦の住宅とにおいて、知識人の表情と小市民気質とを理解した。そして、これらのものが集まって、彼を不安に、気まぐれにし、彼を海べに追い立てた。