Japanische Klassiker mit Furigana
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にがつなのか
二月七日
宮本 百合子
Lesen Sie 二月七日 (にがつなのか) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.981 Zeichen · 8 Bildschirme
書生と女中とに用を云いつける丈でも平常は引込んでばかり居る彼女には一仕事だったのに、下働きの小女を助けるものがないので午後からは流し場へ立ったっきりでした。
ナイフで大根の皮を剥いたり、揚物をしたり大きな前掛を背中まで掛けて碌に口も利かず女中の通りに立ち働いたのです。
眼の上をへこまして青く興奮して居る母の顔と四十度の熱で氷ずくめに成って居る児に刺戟されて、非常な精力家に成った彼女はじいっとして居ると指先の震える程自分自身も興奮して居ました。
有らいざらいの力で動いたのでした。
彼女の頭の中は夕方近くに来る某博士の診断の想像、立て閉めた西洋間の中の様子、手伝に来て居る者にお菓子をやり医者の車夫に心づけを仕なければ成らない事、五時までに食事を出さなければならない事、…………
まるで蜂の巣の様に細かく分けられた頭は皆その小さい部分部分で活動し手足はよくその事を聞いて呉れました。
彼女にはそれがどんなに嬉しかったでしょう。
彼女はお上品振ったのが大嫌いです。
何にも知らないと云うのを誇りとする「お嬢様」をどれ位哀れんで居た事でしょう。
人間は何でも知って居る丈は知って居なければいけない。