Japanische Klassiker mit Furigana
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にひゃくとおか
二百十日
Lesen Sie 二百十日 (にひゃくとおか) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.466 Zeichen · 60 Bildschirme
圭さんは大きな足を悠々と振って先へ行く。碌さんは小さな体躯をすぼめて、小股に後から尾いて行く。尾いて行きながら、圭さんの足跡の大きいのに感心している。感心しながら歩行いて行くと、だんだんおくれてしまう。
路は左右に曲折して爪先上りだから、三十分と立たぬうちに、圭さんの影を見失った。樹と樹の間をすかして見ても何にも見えぬ。山を下りる人は一人もない。上るものにも全く出合わない。ただ所々に馬の足跡がある。たまに草鞋の切れが茨にかかっている。そのほかに人の気色はさらにない、饂飩腹の碌さんは少々心細くなった。
きのうの澄み切った空に引き易えて、今朝宿を立つ時からの霧模様には少し掛念もあったが、晴れさえすればと、好い加減な事を頼みにして、とうとう阿蘇の社までは漕ぎつけた。白木の宮に禰宜の鳴らす柏手が、森閑と立つ杉の梢に響いた時、見上げる空から、ぽつりと何やら額に落ちた。饂飩を煮る湯気が障子の破れから、吹いて、白く右へ靡いた頃から、午過ぎは雨かなとも思われた。
雑木林を小半里ほど来たら、怪しい空がとうとう持ち切れなくなったと見えて、梢にしたたる雨の音が、さあと北の方へ走る。