Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしんぞう

二重心臓

夢野 久作

Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme

Aozora Bunko

と云い捨てて廻転椅子に腰をかけ、事務机の上を片付け初める。

「オヤ。紙小刀が無い。鞘はここに在るんだが……お前知らんか……」

「存じませんわ。ソンナもの……」

「彼品はトレード製の極上品なんだ。解剖刀よりも切れるんだから無くなると危険いんだ。鞘に納めとかなくちゃ……」

「よござんすわ。あたし、どうしても美鳥さんと結婚してみせるわ。キットこの家で美鳥さんに子守唄を唄わせて見せるわ」

「……………………」

「何と仰言ったって美鳥さんを逐出させるような残酷な事は、断じて、断じてさせないわ」

「……勝手にしろッ。コノ出来損ないの……カカ片輪者の……ババ馬鹿野郎ッ……」

「ネエ。いいでしょう……ねえ。ねえエ……あたしだってモウ……年頃なんですものオ……」

と云ううちに轟氏の背後から廻転椅子ごしに甘えかかるようにして頬をスリ寄せながら、帯の間から短剣を取出し、白い腕の蔭に隠して轟氏の胸に近付け、不意に両手で握って力任せにグッと刺す。

「ガッ……ナ何を……するッ……ガアッ……ムムムムム……」

その時に硝子窓の外から、最前の生蕃小僧が覆面の顔を覗かせる。電光イヨイヨ烈しくなる。