Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとのかお
人の顔
夢野 久作
Lesen Sie 人の顔 (ひとのかお) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.908 Zeichen · 12 Bildschirme
それから褞袍に着かえて、チエ子と並んで夕飯のお膳について、何本もお銚子を傾けた父親は、赤鬼のようになりながら大きな声で、今度初めて行った露西亜の話をした。そのあいまあいまにチエ子がこの頃は特別に温柔しくなった話をきかされたり、久し振りに結ったという母親の丸髷を賞めて、高笑いをしたりしていたが、そのあげく、思い出したように柱時計をふり返ってみると、飯茶碗をつき出して怒鳴った。
「オイ飯だ飯だ。貴様も早く仕舞って支度をしろ。これから三人で活動を見に行くんだ」
「エ…………」
「活動を見にゆくんだ……四谷に……」
お給仕盆をさし出しかけていた母親の顔がみるみる暗くなった。魘えたような眼つきで、チエ子と、父親の顔を見比べた。
「何だ……活動嫌いにでもなったのか」
と父親は箸を握ったまま妙な顔をした。母親は、泣き笑いみたような表情にかわりながら、うつむいて御飯をよそった。
「そうじゃありませんけど……あたし今夜何だか……頭が痛いようですの……」
父親は平手で顔を撫でまわした。
「フーン。そらあいかんぞ。半年ぶりに亭主が帰って来たのに、頭痛がするちう法があるか……アハハハハまあええわ、それじゃ去年送った、あの外套を出しとけ。