Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.384 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

「アッ、あすこに誰かいますわ」

すると、はるか向うの光苔の微光のなかに、一人の、葉か衣か分らぬボロボロのものを身につけた、瘠せこけた男が横たわっている。声を聴いたか……手をあげたが、衰弱のため動けない。三上と、ロイスはぽろりと双眼鏡を取り落した。

しかし、ここに何とも意地の悪いことには、ちょうど此処までが綱の限度であった。ずぶずぶもぐる泥の窪みをゆくことは、僥倖を期待せぬかぎり、到底できることではない。みすみす眼前にみてとロイスの切なさ。そこへ、カムポスが敢然と言ったのである。

「俺がいってみる。このままで、帰れるもんじゃないよ」

そうして彼は、感謝の涙にあふれたロイスの目に送られながら、綱をといて窪みに降りていったのだ。無法、神に通ず――とは、カムポスの憲法。今度も、三上を抱えてようやく戻ってきたのだが……、差しあげて、折竹に渡したとき足場を取りちがえ、ずぶっと深みへ落ちこんでしまった。とたんに、その震動で亀裂がおこり、泥水が流れ入ってくる。

「あッ、カムポス」と、思ったときは胸までも漬っている。カムポスは、一度は血の気のひいたまっ蒼な顔になったが、やがて、観念したらしくにこっと折竹に笑み、