Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

いまに、醜猥な言葉をわめき散らすようになれば、美しいマヌエラは死に、ただ見るものの好色をそそるだけになる。よしんば助かっても空骸がのこる。恥と醜汚のなかでマヌエラの肉体が生きるだけ……。

するとその時、座間の目のまえへ幻となって、一匹の野牛の顔があらわれた。

それは、コンデロガを発って間もなく、曠原の灌木帯で野牛を狩った時のこと、砂煙をたてて、牝の指揮者のもとに整然と行動する、その一群へ散弾をぶちこんだ。すると、腹をうたれたらしい一匹がもがいていると、他が危険をおかしてそれに躍りかかり、滅茶滅茶に角で突いて殺してしまったのである。どうせ、駄目なものは苦しませぬようにと、野獣にも友愛の殺戮がある。医師にも、陰微な愛として安死術がある。

焚火のむこうで鬣狗が嗤うようにうずくまっている。とたんに、怪しい幽霊がじぶんをみているような気がした。やがて、夢も幻もないまっ暗な眠りがはじまったとき、座間は胸にかたい決意を秘めたのであった。

翌朝、もう数時間後にはここを去ろうというとき、マヌエラは絶壁の縁にたっていた。悪魔の尿溜の大景観を紙にとどめようとして、彼女がしきりとスケッチをとっている。