Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

とにかく、ここへ死にに来て相当の期間生きていたものには、体内にほとんど脂肪の層がない。ともあれ……やつらを燃やしてみることにした。

さいしょ、口腔に固形酒精をいれて、それに火をつけた。まもなく火が脳のほうへまわって眼球が燃えだした。ごうっと、二つの窩がオレンジ色の火を吹きはじめた。洞内が、なんともいえない美しさに染んでゆくのだ。裂け目や条痕の影が一時に浮きあがり、そこに氷河裂罅のような微妙な青い色がよどんでいる。淡紅色の胎内……、そこを這いずる無数の青蚯蚓。しかし、死骸は枯れきっていてなんの腥さもない。

私は、そうして暖まり、肉も喰った。しかし肉は、枯痩のせいか革を噛むように不味かった。マヌエラ、私がなにをしようと許してくれるだろうね。

ところが、三つほど燃やして四つ目をひきだそうとしたとき、ふいに天井が岩盤のように墜落した。雪崩れが、洞内の各所におこって濛っと暗くなった。それが薄らぐと崩壊場所の奥のほうがぼうっと明るんでいる――穴だ。それから、紆余曲折をたどって入口のへんにまで出た。そこには、最近のものらしい四、五匹が死んでいる。マヌエラ、私は洞をでてはじめて外の空気を吸った。