Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
二人はいいが……せっかく此処まで漕ぎつけて失敗る俺は哀れだ」
となおも手をついて起き上ろうと試みたとき、ふと掌のしたに紙のような手触りを感じた。みると、ケルミッシュが書いた走り書きのようなものだった。
折竹君――
僕とケティは、これからこの世界の向う側の国へゆく。君は、現実逃避をする僕を嗤うだろう。しかし、素志を達した僕は、このうえもなく満足だ。あの「天母生上の雲湖」には何があるだろう。ユートピア※(疑問符感嘆符、1-8-77) しかし僕は、小説にあるような美しさは求めてない。きっとそこには、冬眠生理でもあるような人間がいるだろう。ながい冬は眠り、短い春は耕す――そういう世界にこそユートピアはあるのだ。
君よ、悠久うごかぬ雲に覆われた魔境「天母生上の雲湖」とともに、時々、僕とケティのことも思いだしてくれ給え。なおダネックは雪崩のしたにいるよ。
雪橋をわたるまえとり急ぎ
ケルミッシュより
その夜、主峰の雲のなかで囂々と雷が荒れた。電光が、尖峰をわたりながら、アジアの怒りのように……ダネックへは死、ケティとケルミッシュは己が手におさめ……一人ただ日本人折竹のみに生還を許したのである。