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Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

と時が経って暁がたがちかいころ、座間にとっては思いがけぬ事件が降って湧いた。一見大して奇もないようだったが、重大な意味があった。それはとつぜん、マヌエラが気懶そうな声で、なにやら独り言のようなものをドイツ語で言いはじめたのであった。

「明日、牝をのぞいた残りを全部殺るというんだ。人道的な方法というからには、アカスガの毒を使うだろう」

驚いたことに、男のような言葉だ。調子も、抑揚がなく朗読のようである。そして、これがなかでもいちばん奇怪なことだが、いまマヌエラが喋っているドイツ語を、当の本人が少しも知らないのである。知らない外国語を流暢に喋る――そんなことがと、一時は耳を疑いながらまえへ廻って、座間はマヌエラをじっと見つめはじめた。

「マヌエラ、どうしたんだ、確かりおし!」

しかしマヌエラの目は、狂わしげなものを映してぎょろりと据っている。ひょっとすると心痛のあまり気が可怪しくなったのかもしれない。その間も、なおも譫言は続いてゆく。

「逃げやしないかな」

「大丈夫、武器は取りあげてないから、まさかと思っているだろう。第一、石階には番人がいるし……そこを逃げても、マコンデ方面は網目のようだからな」