Japanische Klassiker mit Furigana
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しぐれがさ
人情武士道
山本 周五郎
Lesen Sie 人情武士道 (しぐれがさ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.700 Zeichen · 51 Bildschirme
怯えた者のように体が震えだした。
「そうだよ洞村へ行くんだ」
「待って呉れ、ちょっと待って呉れ、是には訳がある、ちょっと複雑な事情があるんだ、貴公はなんと聞いたか知らぬが実は」
「なにも聞かない、拙者はなにも知らんぞ」至は静かな調子で云った、「知っているのはただ可愛い子供と、美しい優しい女房だけだ、可愛い子供じゃないか、丈夫そうによく肥って、くりくりとした利口そうな顔をして、……女房だってあのくらい美しく気の優しいのは珍しいぞ」
「待って呉れ、お願いだ、詫びはする、どんな方法でもとる、だが、このことだけは内密にして呉れ、もしこれが分ったら己の生涯はめちゃめちゃだ」
至は返辞をしなかった。次郎太は彼の後を追いながら必死の声で云った。
「己が此処で身を亡ぼせば、かねも子供も不幸になるんだ、あの二人の将来は必ずいいようにする、誓って約束する、だから、西郡、どうかこのことだけは貴公の胸ひとつで忘れて呉れ」
「そうして灰島の娘を娶るというのか」
「かねは承知して呉れたんだ、どうせ自分の身の上では正妻にはなれぬと諦めをつけているんだ、だから貴公さえ忘れて呉れれば」
「灰島の娘はどうだ」