Japanische Klassiker mit Furigana
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にんげんせいぞう
人間製造
国枝 史郎
Lesen Sie 人間製造 (にんげんせいぞう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.606 Zeichen · 22 Bildschirme
一
一
大阪の町は寂しかった。
夜はもう三時を過ごしている、つまり時刻は真夜中であった。其時一人の労働者が力の無い足どりで歩いて来た。
「今日で俺は二日、飯を食わねえ、いつマア食物に有りつけるんだろう? 一寸先ぁ暗闇だ。何時ありつけるか知れたものじゃねえ。と為ると生命の問題だ! へ、人間て云う奴ァ屹度恐らく此様時に盗賊根性を起こすんだろうぜ。何しろ生命の問題だからな。死ぬか生きるかの問題だ。盗みをしなけりゃ食う事が出来ねえ。食う事が出来なけりゃ死んで了う。そうだくたばって了うのだ! ……くたばる! くたばる? へくたばり遊ばすのだ! おお、厭な事だ真平だ! ――死ぬのが厭なら食わなけりゃならねえ。が一体何うしたら食えるんだ? 東京、横浜、そして神戸――それから一昨日此町へ来たんだが、どこの工場でもお断りだ。実は今人減しの最中なんでね……何処も彼処も同じご托宣だ。そこで余り外見の好くねえ労働者の乾物っていう奴が、出来かかっていると云うものさね。――ところで此処は何処なんだろう?」
こんな事をブツブツ呟き乍ら、大きな建物の角を曲がり、左手の方へ歩いて行った。