Japanische Klassiker mit Furigana
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にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
Lesen Sie 人間豹 (にんげんひょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.989 Zeichen · 311 Bildschirme
変装と知りながら、それを真実の殺人鬼恩田として、正義心の強いルンペンどもの前に投げ与えるとは、なんという皮肉な報復手段であろう。明智は敵を翻弄している気で、実は敵のために翻弄されたのではないか。いかにも怪老人の考えつきそうな「魔術」ではなかったか。
いや、待てよ。どうもまだ腑に落ちないところがある。いったい、会いもしない老人が、どうして明智の変装を看破することができたのであろう。それでは、あの低能児みたいなルンペンが曲者かしら……そんなはずはない。あれだけのあいだ、自動車に肩を並べていて、それを見破り得ないほど愚かな明智ではない。
暗闇の広っぱを横ぎりながら、あれかこれかと思いめぐらすうちに、やがて、ある恐ろしい考えが、火花のように明智の頭に閃めいた。
「アッ、そうだったのか」
明智は思わず声を出して呟いたほど、激しいショックを受けた。
「すると、すると……ああ、おれはとんでもないことをした。だが、なんという悪魔の智恵だ」
さすがの名探偵も、ある恐ろしい幻影に戦慄しないではいられなかった。
「もう間に合わぬかもしれない。だが、間に合わぬにもせよ、手を尽すだけは尽してみなければ」