Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にんげんひょう

人間豹

江戸川 乱歩

Lesen Sie 人間豹 (にんげんひょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.989 Zeichen · 311 Bildschirme

Aozora Bunko

それはやっぱり頑丈な板壁の、まるで倉庫のような広い部屋であったが、一方の隅に本物の鉄の檻の一部分が見えて、その中に豹の上半身が横たわっているのだ。檻のそとは一面の土間で、板壁がひどく頑丈なのを見ると、時には豹を檻から出して、部屋の中を散歩させるのかもしれない。

気のせいか、俄かに耐らない野獣の臭気が鼻をついた。臭気ばかりではない。このいやにむし暑いのは、なんであろう。今までは昂奮のあまり、それとも感じなかったけれど、隙間に眼を当てていると、その暖かさは、隣の部屋から伝わってくるように思われる。それに、よく見れば、窓からの光線のほかに、かすかに赤い光が、チロチロと動いているように感じられる。ああ、わかった。ここからは見えぬけれど、寒さを嫌う豹のために、ストーブが焚いてあるのだ。さっき塀のそとから眺めた煙突の煙は、この部屋から立ち昇っているのに違いない。

彼は中腰に疲れると、眼をはなしてうずくまるのだが、しばらくすると、不安に耐えられなくなって、また隙間を覗く。そうして、うずくまったり覗いたりしながら、なんのまとまった思案もつかぬ間に、時間はドンドンたっていった。