Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

にんげんひょう

人間豹

江戸川 乱歩

Lesen Sie 人間豹 (にんげんひょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.989 Zeichen · 311 Bildschirme

Aozora Bunko

蘭子は恩田の恐ろしさをまだ知らなかった。ただ、なんとなくいやらしい男と感じたばかりだ。

「あたし、人違いをしましたの。これをお返しします。そして、もう帰りますわ」

彼女は指環を抜いて卓上に置き、いきなり立ち上がって帰りそうにした。

「だめだめ、その襖には錠前がついているんだ。鍵は僕が持っている。ほしければ鍵を上げないものでもないが、それには条件があるんだよ」

「じゃあ、あたし、ベルを押して、ここの女中さんを呼びますわ」

「呼んだって来やしないよ。君が少しぐらい大きな声を立てたって、誰もこないことになっているんだ」

蘭子は青ざめた顔をゆがめて、もう泣き出しそうになっていた。

「まあ、いいから、そこへ坐りたまえ」

恩田が彼女のそばへ寄りそって、肩に手をまわして、グッとおしつけると、蘭子はクナクナと座蒲団の上にくずおれてしまった。

恩田の大きな両眼は、渋面を作った少女の顔を、飽かず見入りながら、怪しい燐光に輝きはじめた。口は大きくひらいて、夏の日の犬のように、ハッハッと、苦しげにあえいだ。そして、まっ白な鋭い歯のあいだから例の刺のある異様に長い舌が、一匹の無気味な生きもののようにうごめくのが眺められた。