Japanische Klassiker mit Furigana
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いせのまき
伊勢之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 伊勢之巻 (いせのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.617 Zeichen · 35 Bildschirme
」
客は何思いけん手を頬にあてて、片手で弱々と胸を抱いたが、
「お婆さん、昔から聞馴染の、お杉お玉というのは今でもあるのか。」
「それはござりますよ。ついこの前途をたらたらと上りました、道で申せばまず峠のような処に観世物の小屋がけになって、やっぱり紅白粉をつけましたのが、三味線でお鳥目を受けるのでござります、それよりは旦那様、前方に行って御覧じゃりまし、川原に立っておりますが、三十人、五十人、橋を通行のお方から、お銭の礫を投げて頂いて、手ン手に長棹の尖へ網を張りましたので、宙で受け留めまするが、秋口蜻蛉の飛びますようでござります。橋の袂には、女房達が、ずらりと大地に並びまして、一文二文に両換をいたします。さあ、この橋が宇治橋と申しまして、内宮様へ入口でござりまする。川は御存じの五十鈴川、山は神路山。その姿の優しいこと、気高いこと、尊いこと、清いこと、この水に向うて立ちますと、人膚が背後から皮を透して透いて見えます位、急にも流れず、淀みもしませず、浪の立つ、瀬というものもござりませぬから、色も、蒼くも見えず、白くも見えず、緑の淵にもなりませず、一様に、真の水色というのでござりましょ。