Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
Lesen Sie 光と風と夢 (ひかりとかぜとゆめ) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.032 Zeichen · 158 Bildschirme
一生病床にいても、猶、修業の途はある。勿論、そうした病人の達成する所のものは、余りに偏ったものになりがちだが)自分は余りにも物語道(その技巧的方面)にのみ没入し過ぎてはいなかったか? 漠然とした自己完成のみを目指して生活に一つの実際的焦点を有たぬ者(ソーローを見よ)の危険は、充分考慮に入れた上で、この事を言っているのだ。曾て大嫌いだった・之からも好きにはなれまい(というのは、今、南海の我が乏しき書庫に其の作物が一冊も並んでいないからだが)あのワイマアルの宰相のことを、ひょいと思う。あの男は、少くともスウプのだしがらではない。いや、逆に、作品が彼のだしがらなのだ。ああ! 俺の場合は、文学者としての名声が、不当にも、俺の人間的完成(もしくは未熟)を追越し過ぎたのだ。恐るべき危険だ。
ここ迄考えて来て、妙な不安を覚える。今の考を徹底させれば、俺の従来の作品の凡てを廃棄しなければならなくなるのではないか。之は絶望的な不安だ。今迄の俺の生活の絶対専制者「制作」よりも権威あるものが現れるということは。
しかし一方、習、性となった・あの文字を連ねることの霊妙な欣ばしさ、気に入った場面を描写することの楽しさが、自分を捨去るとは、ゆめゆめ思えない。