Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
しかしもちろん葉之助にはそんな消息は解っていない。で、窩人の廃墟ばかりあって、窩人その者のいないということが、少なからず彼を失望させた。
「だがさっきの呼び声は決して自分の空耳ではない。確かに人間の呼び声であった。その人間はどこにいるのであろう?」
そこで彼は何より先にその人間を探すことにした。
一軒一軒根気よくかつては窩人の住家であり、今は狐狸の巣となっている、窟作りの小屋小屋を丁寧に彼は探したが、人間の姿は見られなかった。
「さては空耳であったのかしら?」
ようやく疑わしくなった時、またもや同じ呼び声がどこからともなく聞こえて来た。
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい!」と。
声は山の方からやって来る。
で葉之助は元気付き声のする方へ走って行った。荒野を上の方へ越した時、丘の上に森があり、森の中に神殿があり、内陣の奥に槍を持ったさも厳めしい木像が突っ立っているのを見付けたが、これぞ天狗の宮であり、厳めしい武人の木像こそ宗介天狗のご神体なのであった。しかしこれとて葉之助には何が何んであるか解ってはいない。
とは云え何んとなくその木像が尊く懐かしく思われたので、葉之助は手を合わせて恭しく拝した。