Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
何を造っているのであろう。
とまた彼らは話し出した。
「莫迦にゆっくりしているじゃないか」
「それは、最後のお別れだからな」
「齧り付いているんだな」
「うん、そうとも、几帳の中で」
「百歳過ぎたお婆とな」
「どう致しまして、十七、八、水の出花のお娘ごとよ」
「アッハハハ、違えねえ」
彼らは小声で笑い合い、ひとしきりコンコンと仕事をした。
「思えばちょっとばかり可哀そうだな」また一人が云い出した。
「若い身空を水葬礼か」
「それも皆んな心がらだ」
「俺らに逆らった天罰だ」
「湖水を渫った天罰だ」
「諏訪家の若殿頼正なら、若殿らしく穏しくただ上品に構えてさえいれば、こんな目にも逢うまいものを」
「いい気味だよ、いい気味だよ」
そこで彼らはまた笑った。
「……さて、あらかた棺も出来た」
「早く死骸が来ればいい」
そこで彼らは沈黙した。
これを聞いた葉之助はゾッとせざるを得なかった。
彼らは頼正の死骸を納める棺を造っていたのであった。そうして若殿頼正は、今夜もこの家へ引き寄せられ、美しい娘の水藻に化けた百歳の姥久田のために誑かされているらしい。しかも若殿頼正の生命は寸刻に逼っているらしい。