Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「鏡氏、お察し申す」
弓之進は眼を上げた。傘の武士が立っていた。
「そういう貴殿は? ……おお松崎氏!」
「捕えて見れば我が子なり。……鏡氏、驚かれたであろうな?」
「葉之助めが曲者とは。……ああ何事も夢でござる」
弓之進は然と泣いた。
「拙者断じて他言致さぬ。家に帰られ葉之助殿を、何んとかご処分なさるがよかろう」
雪は次第に烈しくなった。弓之進は返辞さえしない。
返辞をしようと思っても口に出すことが出来ないのであった。
彼は内藤家の家老であった。その立派な家柄の子が、こんな大事を惹き起こし、こんな動乱を醸すとは、当人ばかりの罪ではない。連なる父母も同罪である。すなわち監督不行届きとして罪に坐さなければならないだろう。
葉之助へ一封の遺書を残し、弓之進が屠腹して果てたのはその夜の明方のことであった。
六
弓之進の死は変死であった。が、内藤家にとっては由緒ある功臣、絶家させることは出来ないというので、病死ということに取りつくろわせ、盛んな葬式が終えると同時に家督は葉之助に下された。
ひとしきり弓之進の死について家中ではいろいろ取り沙汰したが、生前非常な人望家でみんなの者から敬われていたので、非難の声は聞かれなかった。