Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
そうしてついに誰一人として自殺の原因を知るものがなかった。
わずかにそれを知っている者といえば、松崎清左衛門と葉之助だけであった。
その葉之助は父の死後自分に宛てられた遺書を見て恥じ、泣かざるを得なかった。
「……辻斬りの本人がお前だと知っては、私は活きてはおられない。子の罪を償うため父は潔く切腹する。で、お前の罪は消えた。父の後を追うことはならぬ。決してお前は死ぬことはならぬ。さて私は死に臨んでお前の身上にかかっているある秘密の片鱗を示そう。お前の実父は飯田の家中南条右近とはなっているが、しかし誠はそうではない。お前の実の両親は全然別にある筈だ。とは云えそれが何者であるかはこの私さえ知らないのである。ただし南条右近の子として鏡家へ養子に来たについては、来ただけの理由はある。また立派な経路もある。そうしてそれを知っている者は、私の親友、殿の客分天野北山一人だけである。就いて訊ねるもよいだろう。私は今死を急ぐ、それについて語ることは出来ない。下略」
これが遺書の大意であった。
で、ある日葉之助は北山方を訪れた。
一通り遺書を黙読すると北山は静かに眼をとじた。