Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

もう一人の老人の声が云った。

「そう長く悪運が続くわけがない」

「多四郎め! 思い知るがいい!」

「だが葉之助は可哀そうだ」突然誰かがこう云った。

「仕方がない、贖罪だ!」もう一人の声がこう云った。

「母の罪を償うのだ」

「あれの母の山吹は、部落きっての美人だった。お頭杉右衛門の娘だった。若大将岩太郎の許婚だった。……ほんとに気前のいい娘だった」

「ところが多四郎めに瞞された。そうして怨み死にに死んでしまった。可哀そうな可哀そうな女だった。……山吹とそうして多四郎との子! 可哀そうな可哀そうな葉之助!」

八

観音堂への参詣を済まし、偶然来かかった北山は、窩人達の話を耳にして「オヤ」と思わざるを得なかった。

「葉之助葉之助と云っているが、鏡葉之助のことではあるまいかな?」

これは疑うのが当然であった。

と、木蔭に身を隠し、次の話を待っていた。

「だが葉之助は偉い奴だ」老人の声がこう云った。「俺らの敵の水狐族部落を、見事に亡ぼしてくれたんだからな」

「そうだ、あの功は没せられない」合槌を打つ声が聞こえて来た。「あの一事で母親の罪は、綺麗に償われたというものだ」