Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
大きな喧嘩でも起こったようであった。
「旦那旦那大喧嘩です」
駕籠舁きはこう云って駕籠を止めた。
「裏通りからやるがいい」
駕籠の中から北山が云った。
そこで駕籠は木挽町へ逸れた。
二三
火元はどうやら愛宕下らしい。木挽町あたりも騒がしかった。かてて大喧嘩というところから、人心はまさに兢々としていた。
「火消し同士の喧嘩だそうだ」「いや浅草の芸人と、武士との喧嘩だということだ」「いや賭場が割れたんだそうだ」「いや謀反人だと云うことだ」「いや、一方は芸人で、一方は神様だということだ」「神様が喧嘩をするものか」
往来に集まった人々は、口々にこんなことを云っていた。
駕籠はズンズン走って行った。芝口へ出、露月町を通り、宇田川町、金杉橋、やがて駿河守の屋敷前へ来た。
この辺もかなり騒がしかった。
「ここで下ろせ」
と北山は云った。
駕籠から下りた北山は、葉之助の屋敷の玄関へ立った。
案内を乞うと声に応じ、取り次ぎの小侍が現われた。
「これはこれは北山先生で」
「葉之助殿ご在宅かな」
「いえ、お留守でございます」気の毒そうに小侍は云った。
「ふうむ、お留守か、どこへ行かれたな」