Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

……私は白衣を纏っている。だから部落の人達は、白法師と呼んでいる」

「えっ」

と牛丸は驚いたが、驚いたのは牛丸ばかりではなく山吹も岩太郎も仰天して、妙な人をつくづくと見た。

「何も驚くことはない」

白法師は悠然と説き出した。

「部落の人達が憎み嫌う白法師とは私のことじゃ。しかし私は悪魔ではない。私はかえって天使の筈じゃ……この部落はよい部落じゃ。ここの人達はよい人達じゃが、一つだけ悪いことがある。窩人以外の下界の人達を忌み嫌うということはどう考えてもよいことではない。私はそういう思想を打ち破るために来た者じゃ」

白法師の眼はこう云った時焔のように輝いた。法師はやがて一揖すると敷居を跨いで戸外へ出た。林の中へはいって行く。間もなく姿は木に隠れたが、その神々しい白衣姿は、三人の眼に残っていた。そうして「愛の宗教」を説いた慈愛の言葉も三人の耳に、尚明瞭りと残っていた。

二人の恋人は抱き合ったまま白法師の後を見送っている。

一二

こういうことがあってから一月ほどの日が経った。万山を飾って燃えていた紅葉の錦は凋落し笹の平は雪に埋ずもれた。冬籠りの季節が来たのである。