Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
しかし、そう思う心の端から、
「身分違いの部落の女が、下界の男と契ったところでやがて捨てられるは知れたことだ、一旦山を下りたからは二度と再び帰って来ることは出来ぬ。人里にも住めず山にも帰れず、その時いったいどうするぞ? 首を縊るかのたれ死にをするか? どっちにしても可哀そうなものだ」
惻隠の情が起こるのであった。
爾来杉右衛門は憂欝になった。自分の家の囲炉裡の側からめったに離れようとはしなかった。薪を燃やし焔を見詰めじっと思案にふけるばかりで、楽しい酒宴の座へも出ず好きな狩猟さえ止めてしまった。
十年前に妻を死なせ、女気といえば娘ばかり、その娘に逃げられた今は家には杉右衛門ただ一人。時々同じ愁いを抱いた岩太郎が訪ねて来るばかりである。
今日も烈しい吹雪であった。
どうやら熊でも捕れたらしい。いわゆる恐ろしい「熊吹雪」である。
杉右衛門はじっと考えている。自在鉤には薬缶が掛かり薬缶の下では火が燃えている。
もう夕暮れに近かった。部屋の中はほとんど暗い。しかし行灯は灯してない。が杉右衛門の姿だけは焚火の光で明瞭り見える。
その時表の戸が開いて若者がノッソリはいって来た。