Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「ああ恐ろしい夢を見た」
こう云うとムックリ起き上がった。それから弓之進をじっと見た。その逞しい顔の面へ歓喜の情があらわれたと思うと突然若者は両手を延ばし、
「お父様!」
と呼んだものである。それからまたも気を失い、熊の死骸へ倚りかかった。
この時、忽然弓之進は、以前死んだ葉之助が、「代りが来るのだ! 代りが来るのだ! 次に来る者はさらに偉い!」と末期に臨んで叫んだことを偶然も思い出した。
「うむ、そうか! こいつだな!」
……ポンと膝を叩いたものである。
翌年の秋、鏡家へ飯田の城下から養子が来た。
堀石見守の剣道指南南条右近の三男で同苗右三郎というのであったが、鏡家へ入ると家憲に従い葉之助と名を改めた。
三
「鏡家の養子葉之助殿は十二歳だということであるが一見十八、九に見えますな」
家中の若侍達寄るとさわると葉之助の噂をするのであった。
「ノッソリとしてズングリとしてまるで独活の大木だ」
などと悪口する者もある。
「ノッソリの方は当たっているがズングリの方はちと相応わぬ。どうしてなかなか美少年だ」
なあんて中には褒めるものもある。
「ところでどうだろう剣道の方は?」