Japanische Klassiker mit Furigana
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しょしゅうかいひんき
初秋海浜記
豊島 与志雄
Lesen Sie 初秋海浜記 (しょしゅうかいひんき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.606 Zeichen · 8 Bildschirme
日のあるうちはぱっと明るいが、その日が見る見るうちに西の地平線へ沈んでしまうと、すぐにとっぷりと暮れている。それと同じに、夏と秋との間の薄明がない、と云えば変だけれど、ぎらぎらした夏から澄みきった秋へと、一飛びに季節が移ってゆく。少くとも私はそう感じて、広いがらんとした室の中に、驚いて眼を見張ったのだった。
秋の突然の訪れは、人の心をしみじみと落付けさせる。私は初めて夜遅くまで、机に向って仕事をした。それに疲れてくると、何とのう眠るのが惜しまれて、書物を出して読み耽った。いろんな種類の小さな虫が、一枚閉め残した雨戸の口から、電灯の光をしたって飛び込んでくる。それが電灯のまわりから机の上一面に、渦巻き撒き散らされる。不思議なことには、蚊は一匹もいなかった。
虫が書物の間に挟らないよう、注意しいしい頁をくっていると、ふと、雨滴の音が耳についてきた。遠くごーっと地響きをさせ、近くざーっと捲き返してる、二様の波音の間に交って、そして金属性の虫の声の合間に、ぽたりぽたりと、軒から砂の地面へ落ちる雨滴の音が、はっきりと聞えている。
私はその音に耳をかしてるうちに、変にいぶかしい気持になって、開いている雨戸の間から覗きに立っていった。