Japanische Klassiker mit Furigana
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しょしゅうかいひんき
初秋海浜記
豊島 与志雄
Lesen Sie 初秋海浜記 (しょしゅうかいひんき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.606 Zeichen · 8 Bildschirme
何時頃だったろう。時計は止ってしまっていた。遠くで鶏の声がして、冷々とした風が吹き込んできた。私は毛布を引寄せて、それをきて机の前に寝そべって、暫の間うとうととした。それからふと眼をさまして、冷気にぞっとしながら、夢現のうちに布団の中にはいった。
翌朝眼を開いた時、室の中には電灯がともっていたが、その光に交って、隅々まで茫とした妙な明るみがあった。半身を起して眺めると、閉め忘れた雨戸の間から、白々とした夜明の微光が見えた。
盲いたようなおかしな夜明だと思ったが、縁側から眺めると、それは深い霧のためだった。南寄り東に海を受けた、その海の面に濛々とした霧が低く立ち罩めて、水平線を離れたらしい太陽の光が、それに漉されて茫と白んで、宛も磨硝子を透かして見るような明るみとなっていた。そして不思議な景色を展開してみせた。
先ず、海の方一面に、低く霧が屯している。それから右手の方、川の流に従って、川口から川上へと、霧の枝が伸び出し、松林の据を廻って見えなくなり、更に左手へは、川口から入江の沼の上を、くっきりと蔽うている。宛も水のあるところにだけ凝り集って、水へもぐろうと低く低く渦巻いてるようである。