Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
何でもないさ!」と言って置いて、早速降りて行って、女中を小蔭に呼んで訳を話すと、女中は忽ち厭あな顔をして、
「そりゃ困りますねえ。手前共では、もう何方にも、一切そういうことは、しないようにして居るんですが、万一そういうことがあった場合には、私共女中がお立て換えをせねばならぬことになって居るんですから。ですから其の時は時計か何か持ってお出になる品物でも一時お預りして置くようにして居りますが。」と、言いにくそうに言う。じゃ、古い外套だが、あれでも置いとこう、と、私が座敷に戻って来ると、神経質のお宮は、もう感付いたか、些と顔を青くして、心配そうに、
「何事? ……何うしたの? ……何うしたの?」と、気にして聞く。私は、失敗った! と、穴にも入りたい心地を力めて隠して、
「否む! ナニ。何でもないよ。」と言っていると、階下から、
「宮ちゃん! 宮ちゃん!」と口早に呼ぶ。
お宮は「えッ?」と降りて行ったが、直ぐ上って来て、黙って坐った。
「じゃ、もうお帰り。」と、いうと、
「そうですか。じゃもう帰りますから……種々御迷惑を掛けました。」と、尋常に挨拶をして帰って行った。