Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

という送り出す声は、背後から冷水を浴せ掛けられているようであった。

昨夜は、お宮の来るのが、遅いので、女中が気にして時々顔を出しては、「……いえ。あの娘のいる家は、恐ろしい慾張りなもんですから、一寸でも時間があると、御座敷へ出さすものですから、それで斯う遅くなるのです。……本当にお気の毒さまねえ。でも、もう追付け参りましょうから。」と詫びながら柔かいお召のどてらなどを持って来て貸してくれた。私はそれを、悠然と着込んで待っていたのだが、用事のある者は、皆な、それぞれ忙しそうにしている時分に、日の射している中を、昨夜に変る、今朝の此の姿は、色男の器量を瞬く間に下げて了ったようで、音も響も耳に入らず、眼に付くものも眼に入らず、消え入るように、勢も力もなく電車に乗ったが、私は切符を買うのも気が進まなかった。

喜久井町の自家に戻ると、もう彼れ是れ二時を過ぎていた。さて詰らなさそうに戻って見れば、家の中は今更に、水の退いた跡のようで、何の気もしない。何処か、其処らに執り着く物でもいるのではないかと思われるように、またぞっと寂しさが募る。私は、落ちるように机の前に尻を置いて、「ほうッ」