Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
と、一つ太息を吐いて、見るともなく眼を遣ると、もう幾日も/\形付けをせぬ机の上は、塵埃だらけな種々なものが、重なり放題重なって、何処から手の付けようもない。それを見ると、また続けて太息が出る。「あゝ!」と思いながら、脇を向いて、此度は、背を凹ますように捻じまげて何気なく、奥の六畳の方を振返ると、あの薄暗い壁際に、矢張りお前の箪笥がある。其れには平常の通り、用箪笥だの、針箱などが重ねてあって、その上には、何時からか長いこと、桃色甲斐絹の裏の付いた糸織の、古うい前掛に包んだ火熨斗が吊してある。「あの前掛は大方十年も前に締めたのであろう!」と思いながら私は、あの暗い天井の隅々を、一遍ぐるりッと見廻した。そうして、また箪笥の方に気が付くと、あの抽斗も、下の方の、お前の僅ばかりの物で、重なるものの入っていそうな処は、最初から錠を下してあったが、でも上の二つは、――私の物も少しは入っているし、――何か知ら、種々なものがあって、錠も下さないであったが、婆さんがしたのか、誰れがしたのか、何時の間にかお前の物は、余処々々しく、他へ入れ換えて了って、今では唯上の一つが、抽き差し出来るだけで、それには私の単衣が二三枚あるばかりだ。