Japanische Klassiker mit Furigana
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かご
加護
宮本 百合子
Lesen Sie 加護 (かご) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.147 Zeichen · 33 Bildschirme
「お医者様を呼ばないでもいいかしら……」
独言のような彼女の呟きに、お恵さんは、間を置いて、静かな声で返事をした。
「もう大分楽になりましたわ、ありがとう……ようござんすよ」
「大丈夫ですか?――どうしたんでしょうね」
傍から、淑子や女中が、近頃、彼女は、よく遠道をした後に、胸が苦しいと云っては暫く横になることがあると説明した。
時には、指の先まで冷や冷やになり、気でも遠くなるのではあるまいかと思うことさえある、と云う。
女主人と、まだ幼い娘きりの家に仕え、万一、何事かあると、第一責任は、自分が負わなければならないような位置にいる女中は、よい機会に、出来るだけ、お幾の保護を受けたそうに見えた。
低い、然し熱心な調子で、いろいろ云う言葉を耳にききながら、彼女は、瞼を下して、枕の上にある友の顔を見た。なるほど、重る不幸のあった後、お恵さんはめっきり年を取って見えた。飾りけのない束髪にあげた耳の後や、眼尻には、歴々と疲れた衰えが見える。然し……年を考え、自分の健康を思うと、お幾には、それほど、お恵さんがしんから弱っているとは信じられなかった。
たった、四十四や五で、歩いても息が切れるほど老衰するものだろうか?