Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.906 Zeichen · 495 Bildschirme
前二手で柄を持ち定めまた廻すは甚だ困難ゆえ、ついに一の後手(猴は足なく前後四手あり)で箒を持ち螺旋を合わすに並みならぬ根気を要したが、やっと合せて速やかに捻じ入れしまった。もっとも驚き入ったは、いかほど螺旋を合わし損うても二度と柄の孔に合わぬ端を孔に当てなんだのと、右から左へのみ捻じ廻した事だ。一度捻じ入れて直ちに捻じ離し、二度めは初度より易く幾度も行うた。かくて随分巧者になったところでこれをやめて他の遊びに掛った。何の必要もなき事にかくまで辛苦したは驚くほかなく、一たびやり掛けた事はいかな難件をも仕遂げるが面白いと見ゆ。これ人間のほかに見ぬところである。誰も見て居ると知らずにやったのだから讃められたくてでなく、全く為さんと欲したところを為し遂げんとの望みに出たのだ。この猴またやすやすと窓隠しを開閉するを覚え楽しみ、螺旋三つまで重ねて留めた鈴の手を皆捻じ戻して解いた。この褐色カプシン猴は猴類でもっとも睿智のものと言うべく、野生のままでは大いにその睿智と模倣力を揮うべき事物に接せず、したがってやや低能なるも、人間に棲み、器具に近づくに及んですこぶるこれを揮うと見ゆ。