Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
その同じ新八郎が、ある夜往来で声をかけられた。
「お気の毒なお身の上でございますのね。でも、あの娘ごの罪ではございません。さりとて、松本伊豆守様の罪ばかりとも申されません。元兇は他にあります。……×××町を通り、△△町を過ぎ、□□町を行き抜け、○○町まで行き、そこで認めた異形の人数をどこまでもつけていらっしゃいまし。自ずとわかるでございましょう」
それは女の声であった。
(おや?)
と新八郎は驚きながら、声の来た方へ眼をやった。お高祖頭巾を冠っている。上身長があって肥えている。そう云う女が土塀に添って、一人で立っている姿が見えた。
新八郎は不思議そうに訊いた。
「あなたはどなたでございますか?」
しかし女は答えなかった。
「お品のことについて云っておられますので?」
「はい。……そうしてもう一人の、お気の毒な女の方についても」
「ああそれではお篠のことについて?」
すると女は頷いて見せた。
「妾をお信じなさりませ。云う通りに実行なさりませ」
(何んと云う眼だ! 何んと云う声だ!)
新八郎はそう思った。
お高祖頭巾の奥の方から、彼を見詰めている彼女の眼が、男のような眼だからであった。