Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
――以上は島の土人によって、今も語られる伝説なのである。
それはそれとして、部落の中から、日本の歌の聞こえるのは何んと解釈したものであろう?
「何んという不思議なことだろう?」
小豆島紋太夫は佇んでしばらく歌声に耳を澄ました。
「歌の主を探し当てよう。それが何よりの急務である」
――で、紋太夫は足を早め、声のする方へ辿って行った。
行くに従って歌声は次第にハッキリ聞こえて来た。歌の文句も聞き取れた。
「あれは万葉の古歌ではないか。これはどうでも歌の主は日本の人間に相違ない」
こう考えて来て紋太夫は怪しく心の躍るを覚えた。彼はとうとう駈け出した。
林の中へはいった時、石に腰かけた土人老婆が、無心に歌をうたっているのを、微光の中に見て取った。
「や、日本の人間ではない!」
紋太夫は叫んだものである。と、老婆は歌を止め、紋太夫をつくづく眺めたが、流暢な日本語で話しかけた。
「おおあなたは日本人ですね」
「さよう、私は日本人」
「助けてください助けてください!」
老婆は大地にひざまずき、日本流に合掌した。
「助けてやろうとも助けてやろうとも、しかし何を助けるのです」
「妾は聖典を盗まれました」