Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
逆行して名を売ろうとしているのだ。あいつこそ本当は悪党だと悪党から悪党視されることになる。……だからさ時には岩石菖だの『ままごと』をお贈りした方がよろしい。……もっとも俺には出来ないがな。……出来ない俺には別の処世法がある、踏晦して遊蕩に耽けることさ。……どれ水茶屋へでも出かけて行こう)
こうして貝十郎は浅草まで来た。
江戸一番の盛り場で、四季に人出が多かった。「あづま」という水茶屋があって、そこの前まで歩いて来た時、五十年輩の侍が、暖簾を刎ねて出るのが見られた。顔にあばたがあって下品であったが、衣裳や腰の物は高価の物ずくめで、裕福の身分を思わせた。
(おやあれは三浦作右衛門だ)
貝十郎はニヤリとした。
(松本殿の用人の、ああいう人までが水茶屋女に、興味を持つようになったのかな。……ああでもないと四畳半! その四畳半趣味に飽きると、こうでもないと水茶屋の牀几へ、腰を下ろすようなことになる)
こんなことを思いながら、貝十郎は見送った。と、その時、「あづま」の門へ、姿を現わした女があった。へへり頤、二重瞼、富士額、豊かな頬、肉厚の高い鼻。……そういう顔をした女であって、肉感的の存在であったが、心はそれと反対なのであろう。