Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
「お嬢様!」
と呼ぶ声が聞こえて来たので、あわてて仙介は人形を取り出し、お京の膝の上へ投げるように置き、庭を横切って姿を消した。それと引き違いに姿を現わしたのは、他ならぬ小間使いのお菊であった。
仙介の後を見送り見送り、お京の側までやって来たが、お京の膝の上の人形を見ると、ギョッとしたように眼を躍らせ、すぐに取り上げて袖の中へ引き入れ、つかつかと家の方へ走って行った。
七
十二神貝十郎の邸の玄関へ、同心の佃三弥と連れ立ち、仙介が姿を現わしたのは、それから間もなくのことであり、二人の姿が邸の中へ消え、やがて邸から現われたのも、それから間もなくのことであり、十二神貝十郎がそれと続いて、邸から出て駕籠に乗り、品川にある和蘭客屋を、訪ねたのも間もなくのことであった。
こうしてこの日は暮れてしまった。
さて、いよいよ今日の日である。昨日から泊まり込んでいた大日坊は、この日もお島に祈祷をした。お島の衰弱はいちじるしく、放心状態になっていた。しかも心ではどうともして、この苦しみから遁がれ出たいものと、あえぐがように願っていた。祈祷が終えると部屋から脱け出し、夢心地のように庭へ出たが、庭を脱けると当てもなく、両国の方へ歩いて行った。