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Japanische Klassiker mit Furigana

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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし

十二神貝十郎手柄話

国枝 史郎

Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

が、そういう品々は、十数年間人の手によって、手入れをされたことがないと見え、錆び、よごれ、千切れ、こわれ、塵埃にさえも積もられていた。しかしそれよりもそういう品々やそういう人々を包んでいる、部屋の内部の構造の、何んと不思議であることか。天井は黒く塗られている。壁も黒く塗られている。柱も黒く塗られている。壁にあるのは円形の窓で、天井にあるのはこれも円形の、玻璃で造られた明り窓で、そこに灯火が置いてあると見え、そこから鈍い琥珀色の光が、部屋を下様に照らしていた。それにしても天井が蒲鉾形に垂れ、それにしても四方の黒い壁が、太鼓の胴のそれのように、中窪みに窪んでいるというのは、いったいどうしたことなのであろう? こういう構造は欧羅巴あたりの、商船のサロンの構造ではないか。……まさに、それはそうであった。商船のサロンに則ってつくった、部屋に相違なかった。

思うに嘉右衛門が十数年前、この部屋へ世を避けてこもった時、考えるところあってこういう部屋をひそかに造ったものと見える。

※(歌記号、1-3-28)われらが舟路! われらが舟路!

最後の歌が終っても、尚バラードは鳴っていた。