Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ(さん)
千世子(三)
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子(三) (ちよこ(さん)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.906 Zeichen · 54 Bildschirme
「そうだねえ、どうって別に――
肇は煮えきらない返事をした。
「あの女はどう思ったえ――
一寸見た時どんなだと思ったね。
「そうさねえ、
そんな事君一体はっきり云えるもんじゃないよ。
改まった口調で肇は云って瓦斯燈を見あげてしかめっつらをした。
「いやじゃあなかったろう、
今度っきり始めての最後にする気はないだろう。
篤は肇の肩を抱える様にして云った。
「でもね、
あの女はほんとうに感情家で我ままで御天気屋なんだよ。
そして――
肇は何とも云わずにひろびろと横わって居る淋しい町を見て居た。
「あの人はね、
だれでも若い者がきらいになれない人だよ。
すてきな顔つきでも姿でもありゃあしないけれど。
それにねあの人は音楽も少しは出来る――
篤はまとまりのつかない事をつづけて云った。
「でも僕はまだそんなに感じを受けて居やしない、
何にしろ初めて会った人だからねえ。
この次行く気んなったらまた一緒に行こうねえ。
肇は千世子の額と一風変った髪形を思い出して居た。そして筒の中からの様な声でこんな返事をした。
暗い通りを横ぎると見えないポールのさきから青白い火花を散らして電車が一台走って行った。