Japanische Klassiker mit Furigana
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ちどり
千鳥
鈴木 三重吉
Lesen Sie 千鳥 (ちどり) von 鈴木 三重吉 (すずきみえきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.951 Zeichen · 41 Bildschirme
それでたくさんである。何事も二日に現れた以外に聞かぬ方がいい。もしやよけいなことを聞いたりして、千鳥の話の中の彼女に少しでも傷がついては惜しいわけである。こう思ったから自分はその夕方、小母さんや初やなどに会うのが気になった。二人が何とか藤さんの身の上を語って、千鳥の話を壊しはしまいかと気がもめた。
小母さんは帰ってくるやいなや、
「あなたお腹がすいたでしょう。私気になって急いで帰ったのでしたけど」と、初やにお菜の指図をして、
「これから当分は何だかさびしいでしょうね。まったく不意にこんなことになったのですよ」と、そろそろ何か言いだしそうであったから、自分はすぐ、
「あの豆腐屋の親爺さんは、どういう気であんなに髯を生やしているんでしょう。長い髯ですね」と言って、話の芽を枯らしてしまった。
それ以来小母さんたちがちょっとでも藤さんの事を言いだすと、自分はたちまち二日の記憶を抱いて遁げて行くのであった。どんな場合でもすぐ遁げる。どうしても遁げられない時には、一生懸命にほかのことを心の中で考え続けて、話は少しも耳へ入れぬようにしていた。後には、小母さんも藤さんの事は先方から避けていっさい自分の前では言わなくなった。