Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

半七捕物帳

岡本 綺堂

Lesen Sie 半七捕物帳 (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.788 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

半七は彼等のなかなか注意ぶかいことを知った。

「どうします。踏み込みますか」と、松吉はきいた。

「ともかくも一応はあらためなければいけねえ」

かれらがもう巣を変えてしまったことは判っているが、それでも何かの手がかりを発見しないとも限らないので、半七は先に立って内玄関からはいり込むと、松吉と喜右衛門もあとから続いた。喜右衛門が通されたという八畳の座敷へはいって、縁側の大きい雨戸をあけ放すと、秋の日のひかりが一面に流れ込んで来た。

「なるほど、内はずいぶん荒れているな」と、半七はそこらを見まわしながら云った。

「わたくしもひどい荒れ屋敷だと思っていましたが、まさかに空屋敷とは……」と、喜右衛門も今更のように溜息をついていた。

壁のすこし崩れている床の間には、山水の掛物もかかっていなかった。三人はその座敷を出て、更に屋敷じゅうを見まわると、ほこりのうずたかく積っている縁側には大小の足あとが薄く残っていた。鼠の足跡もみえた。そのほこりの上を爪立ってゆくと、どの座敷も畳をあげてあったが、台所につづく六畳の暗い一と間だけには破れた琉球畳が敷かれていて、湿っぽいような黴臭いような匂いが鼻にしみついた。