Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
半七捕物帳
岡本 綺堂
Lesen Sie 半七捕物帳 (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.208 Zeichen · 30 Bildschirme
ぐずぐず云ってないで早く来ておくれよ。焦れったい人だねえ」
「でも、いけませんよ。まったくきょうばかりは堪忍して下さい」
どっちもなかなか強情で、容易に埒が明きそうにもなかった。しかし格別に面白そうな事件でもないので、半七は好い加減に聞き流して通り過ぎた。雪は景色ばかりで、家へ帰りつく頃には歇んでしまったが、それから陰った日が二日ほどつづいた。三日目に半七はふたたび竜泉寺前へ行かなければならない用事が出来た。
「きょうこそはあぶねえ」
かれは雨傘を用意してゆくと、大きい雪が果たして落ちて来た。帰りはやはり七ツ過ぎになって、入谷の田圃はもう真っ白に埋められていた。重い傘をかたげて、このあいだの寮の前まで来ると、日和下駄の前鼻緒があいにく切れた。半七は舌打ちをしながら塀ぎわに身を寄せて、間にあわせにつくろっていると、雪を踏む下駄の音がきこえて、門の中からこの間の女が飛石伝いに出て来た。
「まあ、いつの間にか積ったこと」
独り言を云いながら、彼女は人待ち顔にたたずんでいたが、傘を持っていない彼女は髪を打つ雪に堪えないと見えて、やがて内へ引っ返してしまった。
手が亀縮んでいるので、鼻緒を立てるのに暇がかかって、半七はようように下駄を突っかけて、泥だらけの手を雪で揉んでいるころへ、このあいだの按摩が馴れた足取りですたすた