Japanische Klassiker mit Furigana
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なんきんむしさつじんじけん
南京虫殺人事件
Lesen Sie 南京虫殺人事件 (なんきんむしさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.660 Zeichen · 26 Bildschirme
奴らは急に二手に分れて走りだすかも知れないから、そのときはボストンバッグの奴の方を執念深く追うことにしよう」
「ピストル持ってきた?」
「持ってる」
いよいよ丘の大邸宅地域にかかった。一ツの邸宅が広さ何千坪、中には一万坪を越すような大邸宅もある。高い石塀がエンエンと曲りくねってつづき、昼でも人通りがほとんどなくて淋しいところ。石塀と庭の樹木は昔さながらの姿であるが、石塀の中の邸宅は焼けて跡形もないのが多い。
二人の男は石坂に沿うて曲った。とたんにドンと地響きがした。
「それ!」
巡査親子は夢中で走った。我ながらヘタクソな追跡ぶりに気がひけて、間隔がいくらか遠ざかっていたので、どこまでも運がわるかった。ようやく曲り角へでると、今しも遊び人風の男がインテリ風の男を肩にのせて、高い塀の上へ押し上げたところだった。親子がそれを認めたとたんに、インテリ風の男は塀の内側へ姿を消してしまったのである。
波川巡査はオーバーの下からピストルをとって、
「手をあげろ。警察の者だ」
残った男は逃げる様子もなく、まるで何事もなかったように手をあげて、
「なんですか? 怪しい者じゃないですよ」