Japanische Klassiker mit Furigana
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なんぼくのとうかいどうよつやかいだん
南北の東海道四谷怪談
田中 貢太郎
Lesen Sie 南北の東海道四谷怪談 (なんぼくのとうかいどうよつやかいだん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.555 Zeichen · 34 Bildschirme
四
雑司ヶ谷の民谷伊右衛門の家では、伊右衛門が内職の提燈を貼りながら按摩の宅悦と話していた。其の話はお岩の産の手伝に雇入れた小平と云う小厮が民谷家の家伝のソウセイキと云う薬を窃んで逃げたことであった。其の時屏風の中から手が鳴った。宅悦は腰をあげた。
「はい、はい、お薬でござりますか」
宅悦が屏風の中へ入って往くと、伊右衛門は舌打ちした。
「此のなけなしの中へ、餓鬼まで産むとは気のきかねえ、これだから素人の女房は困る」
宅悦は屏風の中から出て七輪へ薬の土瓶をかけて煽ぎだした。伊右衛門はにがにがしい顔をした。
「お岩の薬か、生れ子の薬か」
「これは、お岩さまのでござります」
其の時秋山長兵衛が走るように入って来た。
「民谷氏、小平めをつかまえましたぞ、窃って逃げた薬は、これに」
「これは忝ない」伊右衛門は貼りかけていた提燈を投げ棄てるようにして、長兵衛から小風呂敷の包みをもらい「して、小平めは」
其処へ関口官蔵と中間の伴助が、小平をぐるぐる巻きにして入って来た。宅悦は小平を口入した責任があった。
「てめえ故に、な、おれまでが、難儀しておるぞ」
伊右衛門は惨忍なことを考えていた。