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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんぼくのとうかいどうよつやかいだん

南北の東海道四谷怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 南北の東海道四谷怪談 (なんぼくのとうかいどうよつやかいだん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.555 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

直助が頭をあげた。

「何人だ」

声に応じて外から男の声がした。

「すまねえが、線香を一把もらいたい」

直助は忌いましかった。直助は吐きだすように云った。

「気のどくだが、品ぎれだよ」

「それなら、此処にある樒でけっこうだ」

「だめじゃ、そりゃ一本が百より安くはならねえ、他へ往って買わっしゃるがいい」

外の男はちょっと黙ったが、すぐあわてて声をたてた。

「あれ、あれ、盗人が洗濯物を持って往くわ」

直助は飛び起きて雨戸を開けた。其処に一人の男が立っていた。

「これはどうも、つい置き忘れておりまして」

直助は洗濯物を執って入ろうとして対手に気が注くなり、のけぞるようにして驚いた。

「鬼だ、鬼だ」

直助は家の内へ飛びこんで、ぴしゃりと雨戸を締めて押えた。お袖も驚いて出て来た。

「何処に、何処に鬼が」

其の時外の男の声がした。

「わたしは鬼じゃない、此処を開けてくだされ。お眼にかかれば判ります」

お袖が其の声を聞きつけた。

「どうやら、聞きおぼえのある声じゃ」

直助が手を揮った。

「いけねえ、それが鬼じゃ」

「それでも」

お袖は首をかしげながら起きて往って雨戸を開けた。外の男は与茂七であった。