Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
眼を閉じて、唸っていた。何を叫んでも、返事しなかった。
「人殺しだっ」
往来の人々が叫んだ。雨の中を近所の人々が、傘もささずに駈けつけた。そして、小太郎を恐ろしそうに避けて、板の間へ集まった。庄吉は懐手のままで、微笑して立っていた。小太郎は、動くことができなかった。
「除けっ、除けっ」
その声と共に一
「御役人だ」
と、人々が、呟いた。
小太郎は、立っている大地が、崩れて、暗い穴の中へ陥って行くように、絶望を感じた。だが
(取乱してはいけない)
と――父のこと、母のことよりも先に、武士として立派な態度をとりたいと感じた。
「何うした」
自身番に居合せた小役人は、小藤次と顔馴染であった。小太郎を、じろっと見たまま、職人にこう聞いた。
「そいつが、常を殺しゃあがったので」
役人は、小太郎に
「何れの御家中で――」
「薩藩――」
と、口に出して、黙ってしまった。その途端
「薩藩? 巫山戯るねえ。得体の知れねえ馬の骨のくせに、薩藩? 一昨日来やがれ、この乞食侍」
庄吉が怒鳴った。小藤次が
「昨日までは、俺んとこの下っ端だったが、不都合をしゃあがって、お払箱になった代物だ。一つ、しょっ引いて行ってくれ。